キャッテリーのHPなどで、「CH」「GRC/GC」といった称号が付いた猫を見かけたことがある方は多いと思います。それぞれ「チャンピオン」「グランドチャンピオン」というタイトル(称号)を示しています。
チャンピオンという位だから、いい猫ちゃんなんだということは容易に想像がつきますが、じゃあどうしたらチャンピオンと呼ばれるようになるのか。ママパパにとっては、未知の世界ですよね。自分たちも最初は全く???でしたが、これまでにソマリブリーダーさん方からいろいろなことを教えていただいて、純血種のタイトルにどんな意味があるのか、やっとわかってきたところです。
タイトルを獲得するには、キャットショーに参加して(“出陳”といいます)、規定のポイントを得なければなりません。
このキャットショーに関しても、よくソマリママさんパパさんからご質問をいただくところなので、ここでは純血種にとっての「タイトル」の意味を考えながら、キャットショーについてまとめてみました。(といってもマニアックな話じゃなく、あくまでも猫ママ目線ですが(^-^;))
CFAによれば、キャットショーとは『ショールールに基づき、各純血猫種ごとに定められたスタンダード、あるいはハウスホールドペット(※1)の審査基準によって、 順位付けが行われる品評会』です。
「スタンダード」(※2)というのは猫種審査基準書のことであり、これに則して規定のポイントを得た猫には、「CH (チャンピオン)」や「GRC (グランドチャンピオン/GCと表記されることも)」などのタイトルが与えられます。
※1:キャットショーには「ハウスホールド」という部門もあります。ミックスちゃんや、その団体の登録ナンバーをもたない純血種が参加できる部門です。
※2:ソマリのスタンダードについて詳細はこちらをご覧ください。「ソマリのスタンダード」
キャットショーは、CFAのみならず様々な団体によって開催されています。一口に「チャンピオン」といっても、開催主によって内容や水準は様々で、世界規模の「CFA」と「TICA」に対して、「ACC」や「ICC」など日本国内だけの団体もあります。
「親がCH(チャンピオン)」といっても、それがどの団体のCHなのかで、水準もかなり違ってくるというわけです。もし、血統のよいソマリを迎えたいというこだわりをお持ちの方でしたら、子猫の親がCFAもしくはTICAのCH/GCタイトルを持っていれば、それがひとつの目安と言えるでしょう。
どちらもアメリカを本拠地とする世界最大の血統登録&ショー公認機関ですが、猫の分類の仕方には多少差があります。
又、タイトルについては、CH(チャンピオン)/GRC(グランドチャンピオン)までは両者同じですが、TICAはさらにDGC(ダブル・グランド・チャンピオン)/TGC(トリプル・グランド・チャンピオン)/QGC(クォード・グランド・チャンピオン)/SGC(スープリーム・グランド・チャンピオン)というタイトルがあります。
ソマリはCFAでは「短毛種」の区分に入りますが、TICAでは「長毛種」です。また、カラーについても、CFAで“レッド”と呼ばれるカラーはTICAでは“シナモン”であり、CFAでは公認していない“シルバー”もTICAでは認められています。(カラーについて詳しくは「ソマリのカラー(毛色)」をご覧ください)
さらに、ソマリとアビシニアンの交配で生まれた子猫の扱いについて、両者にはかなりの差があります。詳しくは「ショートヘアソマリとアビシニアンの違いは? 」をご覧ください。
キャットショーは、見学することもできます。ソマリが大好きという方は、一度キャットショーに足を運ばれて、ショーに出陳されている猫たちをみるのもいいかもしれません。綺麗にグルーミングされたショーキャットはとても美しいものです。(各品種の出陳数はその回によって違うので、ソマリがたくさん出ている会場に居合わせたらラッキーですね)
※ 管理人のキャットショー見学の記事はこちら
キャットショーにはいろいろな「部門」があるので、一般家庭の猫さんも所定の手続きを経て、条件を満たす部門に出陳することができます。(※ ノミ・ダニ・寄生虫がいたり、ワクチン接種を受けていない猫ちゃんは出陳できません)
ただ、自宅からショー会場までの移動、たくさんの見知らぬ猫や人がひしめき合う会場の中で、ケージで長時間待機することなど、慣れない猫にとっては大きなストレスになりますので、くれぐれも留意してくださいね。まずはママパパが見学に行かれて、ショーの進行を把握されることをお勧めします。
◎CFAのキャットショースケジュールは、こちらから「CFA JAPAN REGION OFFICIAL WEBSITE」
◎TICAのキャットショースケジュールは、こちらから 「TICA Asia Region」
以下は管理人の勝手なつぶやきです。ご興味のある方のみお読みくださいm(_ _)m
このページでは、猫ママさんパパさん方からよくご質問をいただくキャットショーやタイトルについて、一オーナー目線で書かせていただきました。
一口にブリーダーさんと言っても様々で、ショーやタイトルに重きをおかれる方もいれば、そうでない方もいらっしゃいます。
例えば、猫のストレスになるようなことは極力避けたいと、キャットショーに背を向けるブリーダーさんに対しては、何よりもまず猫の体のことを気遣う姿勢に、一ママとしては共感を覚えます。
ただ、「可愛くて健康ならばタイトルなどにこだわる必要はない」...というスタンスが、もしブリードする猫の“血統”にもこだわらないというスタンスに通じてしまったら、それは怖いことだと感じます。
たかが一オーナーが何を生意気なことを言うと思われるかもしれませんが、ソマリに惚れ込んだ母だからこそ思うことがあります。
彼らは、長毛という遺伝子を固定させるため、人工的に作りあげられていった品種です。遺伝子プールが狭い分、体質的に弱い面をもった子猫が生まれる可能性は、他の品種より低いとは決していえないでしょう。だからこそ、どのブリーダーさんにも親とするソマリ達の血統をしっかりさかのぼって調査し、体質的にも気質的にも遺伝上問題のない掛け合わせかどうか吟味して、ブリードに臨んでいただきたいと思うのです。
上記「どの団体のチャンピオンも一定水準?」の項目で“血統のよいソマリを迎えたいというこだわりをお持ちの方でしたら...”と書きましたが、管理人が考える“よい血筋”とは、見栄を満足させる為のものではなく、ソマリ特有の美しさを持ち、なおかつ健康で性格のいい子猫が生まれる可能性が高い血筋...という意味です。
管理人にキャットショーのことを教えてくださったブリーダーさんは、こう仰っていました。「純血種としての代価をいただいて子猫を譲渡するのだから、繁殖に使う親が公的に認められるタイトルをもっていることは、オーナーに対しての責任であり誠意なんです」と。
また一方では、キャッテリーの猫たちのお世話がおざなりになってしまうほど、キャットショーにあけくれるブリーダーさんもいらっしゃいます。それはもう本末転倒としか言えないと思いますが....。
大切なことは、ショーに重きをおくか否かといった表面的なことではなく、「きちんとした血統管理のもと、純血種の個性を守り、かつ遺伝的疾患を極力さけるような計画的な繁殖」がなされること。同時に、繁殖に携わる方々が幅広い病気の知識を備え、猫ママパパと変わらない深い愛情をもって、一頭一頭をきめこまやかに健康管理していただくことではないでしょうか。
オーナーにとっては、迎えた子猫が重い病気を背負っていたり短命であったりしたら、それこそが一番悲しいことですから...。
※ 管理人自身の経験や、多くのママさんパパさんからいただいた愛猫の健康相談のメールの内容等もふまえ、このコラムを書きました。もちろん、管理人が知るブリーダーさんの中には、理想の純血種を求める高い志と、一頭一頭に対する深い愛情、その両方を兼ね備えた素晴らしいブリーダーさんがたくさんいらっしゃることも補足させていただきます。