我が家のソマリ達は、だいたい最初のヒートが来る前後の時期に、それぞれ避妊去勢手術を受けています。多頭飼いなのだから当然じゃないかと思われるかもしれませんが、長男のラピをペットショップから迎えた段階から、当たり前のように、時期がきたら去勢させようと考えていました。

どうしてそう考えていたのか。今振り返ってみると、猫を飼ったことがなくても、ヒート(いわゆる「サカリ」?)の声は知っていたので、マンション住まいでそんな声を出されたら、ご近所迷惑だと思ったこと(もちろんペット可マンションでしたが)。

先住のうさぎ兄さんのスプレー行動(おしっこでマーキングする)が激しく、去勢をしたら治まった経験があったこと。そして何より、学生時代に実家で飼っていた愛犬が、前立腺肥大がもとで亡くなった後、去勢をしていれば防ぐ事ができたであろうことを知った時の「後悔」が、根強く残っていたからだと思います。

ところで、たまにこんなメールをいただくことがあります。「多頭飼いなら当然しないとならないでしょうが、ソマリの一人っ子でも避妊去勢は必要ですか?」

我が家の例でも触れたように、コンパニオンアニマルにとっての避妊去勢は、ただ「妊娠をさせない」ためだけの処置ではないのです。そこには様々なメリットがあります。

そこで避妊去勢のメリットとデメリットをまとめました。

メリット

【病気の予防】
避妊去勢によって防げる病気
雌:子宮蓄膿症、子宮内膜炎、子宮ガン、卵巣ガン、乳腺腫瘍、乳腺炎、乳ガンなど
雄:睾丸腫瘍、前立腺肥大、精巣上体腫瘍、肛門周囲腺腫、セルトリ細胞種など

【ヒートのストレスからの解放】
ヒートがあるのに交尾できない状態は、猫にとって大きなストレスであり、ホルモンバランスを崩して、毛が抜けたり、痩せたり、体調を壊す場合もある。避妊去勢によりこれらから解放される。

【問題行動の軽減】
有名なものは雄のスプレー(おしっこかけ)行動。他に、大声で鳴く、異常に外に出たがる、飼い主や同居猫へのマウント行為、ヒートでイライラすることから来る噛み癖など。避妊去勢によって改善することが多い。

【望まない妊娠をしない・させない】
多頭飼いにおいては、避妊去勢は必要不可欠な選択ですが、たとえば一人っ子であっても、万が一外に出てしまった時に、そこで外の猫さんと交尾して妊娠してしまったり、あるいはさせてしまったりというリスクがなくなる。

【可愛い性格になる】
一般的に避妊去勢をした猫の方が、いつまでも子猫っぽい甘えた性格を維持できるといいます。顔が柔らかな印象になるというブリーダーさんもいらっしゃいます。

デメリット

【手術のリスク】
手術である以上、万が一の事態が起こる可能性はゼロではありません。ただ、そのリスクを極力低くできるとしたら、その子にとって「適切な時期に」「信頼のおける動物病院で」「血液検査を含む詳しい健康診断を事前に受けてから」手術に臨むことだと思います。

【手術のストレス】
病気でもないのに、大切な家族に麻酔をかけたり、その小さな体にメスを入れたりすることに抵抗のある飼い主さんは少なくないと思います(私達もそうです)。また、避妊去勢は「自然に反する行為」と仰る方もいらっしゃるでしょう。ただ、猫を完全室内飼いで人間のそばにおく事自体が、すでに自然に反しており、人間のエゴなのではないでしょうか。その中で、せめて彼らにとってストレスが少ないのはどちらだろうと考えた時、一度の手術や入院で感じるストレスよりも、長期にわたって繰り替えずヒート(外にいる子と違って、絶対に解放されることのない激しい欲求)の方が過酷ではないかと私は思います。

もしソマリちゃんの避妊去勢を迷っているママさんパパさんがいらしたら、是非、上記メリットとデメリットをよくご覧になって、検討してみてください。

※ ブリーダーさんからお迎えする場合には、通常、子猫を避妊去勢させるという確約書を交わします(詳しくは「交配・繁殖について」)。避妊去勢手術が済んだことを条件に、血統書を渡すという形をとるブリーダーさんもいらっしゃいます。

ラピス@去勢後カラー姿・ルキア@避妊後の術後服・リノ@去勢後カラー姿・レアル@去勢後カラー姿

ソマリの避妊去勢の時期について

これまでお世話になってきた獣医師の先生方、ブリーダーさん方からのご意見をまとめると、ソマリの場合、生後半年以上で、なおかつ体重2500gを超えていれば、手術に耐えられる体力は充分にあるとのことです。当然、体調がよい時に手術を受けることが大前提です。

以前は、男の子の場合、早すぎる去勢手術は泌尿器系器官の発育に支障をきたす(ので生後1年以上経ってからがよい)という意見もあったようですが、USの研究で手術の時期と泌尿器系トラブルには因果関係がないことが分かり、最近では生後半年を過ぎれば時期的には問題なしとされているようです。

男の子は一度スプレー行動を覚えてしまうと、去勢後に治らない場合もあるので、最近では本格的なヒートが来る前に去勢...というのが主流になってきているようです。もちろん本格的な初めてのヒートがいつ訪れるかは、かなり個体差が激しいところですが。

信頼できる動物病院を選ぶには

手術は、家族の「命」を預ける行為です。まかり間違っても、なんとなく飛び込みで入った病院でそのまま手術...などというのは避けてください(汗)。ワクチン接種済みのソマリを迎えた場合、本来、避妊去勢まで病院のお世話になる必要がないことも多いでしょうけれど、是非、その前から動物病院選びをスタートしてください。健康診断を受けて、先生の説明の丁寧さや分かりやすさ、病院内の設備、混み具合などをチェックしてはいかがでしょうか。避妊去勢手術は急病ではないので、じっくりと時間をかけて、納得のいく病院を探してくださいね。

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