お返事

最近、膀胱炎にかかってしまったソマリちゃんを持つ猫友さんとお話をする機会が続いたので、今回は、ソマリと膀胱炎について考えてみます。(あくまでも経験上の覚え書き程度の内容ですm(_ _)m)

まず、ソマリは膀胱炎を発症しやすい猫種かどうかですが、私個人としては、特にそうは思いません。膀胱炎をはじめとする泌尿器疾患は、全ての猫にとってとても身近なトラブルであり、実際多くの猫ブログ等で泌尿器トラブルの記事を見かけますが、とりたててソマリの件数が多い印象は受けないからです。我が家のソマリ達も、重篤な膀胱炎に悩まされたことはほとんどありません。

ただ、膀胱炎にもいくつか種類があり、その中でストレスが引き金になって起こると言われている「特発性膀胱炎」については、要注意ではないかなと。ソマリは心が豊かな分、感受性も強い面を持っていますので、もし膀胱炎に罹るとしたら、この特発性膀胱炎である可能性が高いように思うからです(実は我が家のケースもそうでした(;^-^A)。

膀胱炎の症状

特発性膀胱炎も含め一般的に膀胱炎の症状とは、トイレに何度も行く、排尿ポーズをとったのにおしっこが出ていない、おしっこが少量(猫砂のおしっこ玉が小さい)、おしっこをしながら鳴く、力んだり呻いたりする、血尿が出る、トイレ以外の場所でおしっこをする等

膀胱炎の原因

*細菌・真菌の感染によっておこる
*結晶・結石によって膀胱粘膜が傷ついておこる
*感染もなく、結晶結石もないのにおこる

細菌などの感染によっておこる膀胱炎は、一般的には女の子の猫に多く、感染しているかどうかは尿検査で分かります。結晶・結石については、尿のpHがアルカリ性に傾いている時はストルバイト結石、酸性に傾くとシュウ酸カルシウム結石が出来やすくなります(※猫の場合ほとんどがストルバイト結石)。感染や尿結晶がないにもかかわらず起こる、原因の特定できない膀胱炎は「特発性膀胱炎」と診断されます。様々なストレスが発症に関与しているのではないかと言われ、再発しやすい疾患でもあります。

膀胱炎の治療

一般的に、細菌などが感染している場合は、抗生剤での治療。結晶・結石が原因の場合、処方食やサプリメントでpHをコントロールしつつ、抗生剤を服用。特発性膀胱炎は、早ければ1日、平均3〜7日で自然に回復すると言われており、獣医師の対応も様々です。また、全ての膀胱炎において、炎症を抑えるためにステロイド等を用いることもあります(治療は動物病院によってもかなり違います)。

膀胱炎で受診する際はここに注意

上記した通り、膀胱炎にはいくつかの異なった原因があり、それを特定することは、治療にも今後の予防にも大切なことです。そのために尿検査は必須。本猫の負担を軽くする為にも、病院で膀胱を圧迫して排尿させたり、カテーテルで尿を採ったりすることは、なるべく避けたいものです。急を要するケースでなければ、家で採取した尿を持参して調べてもらえるよう、普段から採尿の練習をしておくのがいいと思います。

ちなみに我が家の採尿の仕方は、愛猫がおしっこを始めたら、プリン○ルスポテトチップスのフタ(薄さがちょうどいい/笑)をそっと股下に滑りこませ、そこにたまった尿をウロキャッチャー(ウロキャッチャーがない時はお弁当用のしょうゆ入れ(;^-^A)で吸い上げます。尿を採るのにおたまを使われるお家も多いようですが、うちは上手くいきませんでした。いずれにしても採取したおしっこはすぐに病院に持って行くのがベストです。

また、症状が長引いたり再発した時には、必ずレントゲンやエコー検査もリクエストしてみてください。結石を見逃されていて、結局手術になってしまった話を目にしたことがあります。

採尿に便利なグッズ
写真左から★ウロキャッチャー/しょうゆ入れ/採尿に便利な容器

膀胱炎の予防

膀胱炎にかかってしまった場合、薬を飲み、獣医師に勧められるままに処方食に切り替え、症状が治まればそれでOKというのは、どうも違う気がします。多くの猫が悩まされるFLUTD(猫の下部尿路疾患)をトータル的に予防するためにも、生活習慣や環境の見直しはさらに大事ではないでしょうか。気をつけたいポイントは、「飲水量を増やすこと」「愛猫が快適に排泄できる環境作り」「尿のpHを飼い主が常に把握しておくこと」「バランスのよい食餌」等だと思います。

*お水の器を工夫する(定番のヘルスウォーターシリーズはやはり良いです)
*お水を複数設置する(できればお部屋ごとに設置)
*お水の温度を工夫する(ぬるま湯にするとたくさん飲んでくれる子もいます)
*食餌にウエットを取り入れる(ウエットのみだと歯石がつきやすくなるのでカリカリと組み合わせで)
*トイレを常に清潔に保つ
*猫の数+1のトイレ数を確保
*トイレの設置場所が落ち着ける環境かチェック
*pHチェッカーを常備して、定期的にpHのチェック
*pHがアルカリ化しやすい子には、クランベリーのサプリメントも有効です
*お肉にはメチオニンが含まれているので泌尿器トラブルの予防には良いのですが、例えば
鶏肉のみを単独で毎日の主食にしてしまうようなことをすると、カルシウムとリンのバランスが崩れ、かえって泌尿器トラブルの原因になりかねないので要注意!

猫下部尿路疾患の予防に
写真左から★ヘルスウォーターボウル/pHチェッカー/クランベリーサプリメント

「特発性膀胱炎」の予防

特発性膀胱炎は再発しやすい疾患です。再発防止のために、普段から用心したいですね。特発性膀胱炎に特化した「〈猫用〉c/d マルチケア コンフォート」というフードには、トリプトファンとミルクプロテインが配合されています。必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンは、幸福感をもたらす神経伝達物質セロトニンの材料となり、ミルクプロテインはストレス軽減に効果があると言われています。逆にいえば、ご飯をc/dに切り替えなくても、普段のフードに、メンタル系サプリメントの「トリプトペット」や「ジルケーン」、そして良質なペットミルクをプラスすることで、特発性膀胱炎の予防になるのではないでしょうか。

また、以下のような出来事は猫にとって大きなストレスになると言われています。心が豊かで感受性の強いソマリにとっては、なおさらかもしれません。飼い主の気配りで避けられるものは避けるように心がけましょう。

*トイレが汚い、場所が落ち着かない、気に入っていた場所から移動された
*多頭飼いで相性の悪い猫がいる
*自分が落ち着けるテリトリーや避難場所がない
*引っ越し
*来客が多い
*キャットフードを変えた
*長時間の留守番
*生活パターンや生活環境の急激な変化
*動物病院への通院
*温度変化、気圧の変化(暑さ、寒さ、台風、雷など)
*飼い主の神経質や、家族間の喧嘩など
*かまいすぎ、あるいはほったらかしにしすぎ

特発性膀胱炎の処方食やサプリメント
写真左から★cdマルチケア コンフォート/トリプトペット/ジルケーン

以上、特発性膀胱炎を中心に、猫の膀胱炎予防を考えてみました。ただ、いくらメンタルケアを心がけていても、暑さ寒さ、季節の変わり目、気圧の変化など、飼い主がどうしようもできない要因で愛猫がストレスを抱えてしまう事もあります。排尿の様子が普段と違うなと思ったら、すぐに尿検査をするなどして対処してあげたいですね。

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