「うちのソマリは換毛期になると、毎日のように毛玉を吐いたり、便秘と下痢を繰り返したりするのですが..」というご相談メールをいただきました。
ソマリに限らず、猫が毛玉を吐く行為はあまり珍しいことではありません。特に換毛期ともなればなおさらで、我が家もご多分に漏れずです。ただ、「毛玉」の弊害は「吐く」だけにはとどまらないことがあります。ここではソマリの毛球症について考えてみます。
ソマリは、CFAでは「短毛種」の区分、TICAにおいては「長毛種」の区分に入りますが、実際の毛の長さはセミロング。ペルシャやノルウェージャンフォレストキャットなどの代表的な長毛種ほどには毛が伸びないので、あまり毛球症対策が必要な猫種というイメージはないかもしれません。
が、うちの子達を見ていて思うのは、ソマリは比較的グルーミング(毛繕い)好きな子が多い気がします。傾向としては、やはり神経が細やかな性格の子ほど、自分を熱心に毛繕いしていることが多いです。グルーミングには気持ちを落ち着かる効果があるためでしょう。
ということはつまり、日々大量の毛を飲み込んでいることになるので、当然、頻繁に毛玉を吐く症状も起きてきます。猫にとって吐くこと自体は自然なことですが、あまりに頻繁に毛玉を吐きすぎて胃や食道を荒らし、食欲不振になってしまうこともあります。また、毛玉が原因で便秘や下痢を起こしたり、あるいは乾咳が見られたり、腸管を荒らして排便時に出血したりすることも。
さらに、毛球症で一番怖いのは、上手に吐けなかったり、便秘になってしまって、体外に出せなかった毛玉が大きくなり、消化管の通過障害を起こしてしまうことです。最悪の場合「開腹手術」が必要になるケースもあります。
※ 毛玉によっておこる諸症状をさす「毛球症」は、俗称であり、医学的には「胃内異物」「異物性通過障害」と呼ばれるそうです(参照「マスナガ動物病院」)
こうならないためには、【1:毛をなるべく飲み込ませない】ことと【2:飲み込んでしまった毛を流れやすくして排泄させる】ことが大切です。
【1:毛をなるべく飲み込ませない対策】
*こまめなコーミング・ブラッシング
*定期的なシャンプー (ただしシャンプー後は一時的に過剰グルーミングとなるので注意)
*ストレスからくるグルーミングの軽減 (ストレスを与えない環境を心がける・フェリウェイなどのメンタルケアグッズ・バッチフラワーレメディやジルケーンなどのメンタルケアサプリメントの利用)
【2:毛玉を排泄させやすくする対策】
*病院で出してくれる「キャットラック」「ラキサトーン」などの毛玉流し(毛玉除去材)を使う
*キャットフードを「ロングヘアー用」「ヘアボールコントロール」「毛玉予防」などのシリーズに切り替える
*便秘にならないよう、水分をたくさん摂らせる(水の数カ所設置、ウエットフードの併用など)
〜「キャットラック」「ラキサトーン」などの毛玉除去材について〜
◎ラキサトーン成分=流動パラフィン、白色ワセリン、ペプトン鉄、麦芽シロップ、 糖蜜、コーンシロップ
◎キャットラック成分=コッドリバーオイル(タラの肝臓油)、キャラメル、レシチン、麦芽シロップ、白色ペテロラタム、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、精製水
効能はいずれも腸内の毛玉の除去及び形成防止。インターネットでも簡単に買える品ですが、使用量は、かかりつけの獣医師の指示にしたがってください(お腹が弱い子の場合、下痢をすることもあります)
〜毛玉対策系のキャットフードについて〜
ロングヘアー用、ヘアボールコントロール、毛玉予防、毛玉サポート、などの名称のキャットフードは、食物繊維を増やすことで、毛玉の排泄を促すフードです。食物繊維には、ペクチン・イヌリンなどの可溶性繊維と、セルロース・ヘミセルロース・リグニンなどの不溶性繊維があり、毛玉対策系フードでは一般的に不溶性繊維が多めの設計となっています。高繊維のフードは毛玉の排泄を促すだけでなく、大腸炎による軟便にも効果が見られる場合がありますが、お腹の弱い子にとって、適する繊維の量にはたいへん個体差があります。かかりつけの先生ともよくご相談の上、フードを検討してみてください。
毛玉の排出に効果があるとしてよく知られる「猫草」については、獣医師によって意見が分かれるところですが、我が家の歴代の主治医の先生方は、皆さん積極的に支持されてはいないため、ここでは対策項目に入れていません。
また、愛猫の毛玉吐きに悩むママさんが、酵素サプリメントを与えるようにしたら、吐きが減ったというケースもあるようですので、その子その子に合った毛球症対策というのは、まだまだあるのかもしれませんね。
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