お返事

このメールをくださった方は、ソマリの子猫を迎えようとペットショップを回っていた時、「ショートヘアソマリ」と書かれていたソマリを見て疑問を感じたそうです。

たしかに、アビシニアンという猫種から作られた長毛種がソマリなら、ショートヘアのソマリは、イコール「アビシニアン」のことじゃないかと思いますよね。どうしてショートヘアソマリという言い方をするのか、疑問に思われて当然だと思います。

実は、ショートヘアソマリというのは、遺伝子的にはソマリの因子を持っていて、外見が短毛の猫を指します。見た目にはほぼアビシニアンです。

どういうことかというと、アメリカに「CFA」「TICA」という、猫種や血統を管理する世界最大の愛猫協会があるのですが、この両団体ともソマリとアビシニアンの交配を許可しています。

これは、ソマリの絶対数の少なさからくる「遺伝子プールの狭さ」を補い、より健康で、タイプのいいソマリを産み出すことを目的としています。絶対数が少ないとどうしても血が濃くなりがちなので、それによって様々なデメリット(先天性の病気や奇形など)が発生しやすいからです。

こうした理由で、ソマリとアビシニアンの交配が行われるのですが、生まれた子猫達は、遺伝子的に全てショートヘアとなり、大人になっても毛は短いままです。(アビシニアンが長毛遺伝子を持っていた場合にはこの限りではありません)

この子たちは、TICAでは見た目通り「アビシニアン」に属するのですが、遺伝的にはソマリの因子を持っているため、CFAでは「ソマリ」と見なされます。これがショートヘアソマリです。

ただ、先に触れたように、繁殖に使ったアビシニアンが長毛遺伝子を持っていた場合には、ソマリとかけて生まれた子猫がロングヘアに成長する場合もあります(ソマリ因子をもったロングヘアですから、普通にソマリです)。

やっかいなのは、「長毛遺伝子を持つアビシニアン」×「ソマリ」のカップルで生まれた子猫が、将来ロングヘアに成長するのか短毛のままなのかを、子猫の時点で見極めるのは、ブリーダーさんでも難しいということです。

そのため、TICA表記で「アビシニアン」として迎えた子猫が将来長毛...つまり「ソマリ」に育ったり、CFA表記で「ソマリ」として迎えた子猫が将来短毛...見た目「アビシニアン」(因子的にはショートヘアソマリですが)に成長してしまったというケースが発生することもあります。

ペットショップで「ショートヘアソマリ」を販売する際に、単に「ソマリ」とだけ表記していることも珍しくありません。

品種やコートの長さにこだわりなく心にビビっときた子を迎えたいという方ならば問題はないのですが、ロングヘアもしくはショートヘアにこだわりがある方や、アレルギーのために短毛でないと困るという方などは、念のため子猫の両親について譲渡者に確認されておくと良いかと思います。両親ともにロングヘアなら子猫はロングヘアになります。

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