猫にも血液型があることをご存知の方は少なくないと思います。では、ご自分のソマリちゃんが何型か把握されていますか?。猫においてはそのほとんどがA型で、B型は圧倒的少数派と言われますが、実は、ソマリはB型の割合が比較的高い猫種です(単純計算で6頭に1頭がB型)。少数派のB型だった場合、万が一輸血が必要な事態になった時に、供血猫を確保しにくいという大きな問題点があります。
まさか愛猫に輸血が必要になる時が来るなんて、たいていのママパパは想像した事がないでしょう。でも、100%起こらないとは誰にも言えません。病気でなくても、思わぬケガや、大地震など自然災害もあります。血液型は動物病院ですぐに調べられるので、何かの折りにチェックしておくと、備えとして安心かもしれません。
◎猫の血液型には、A型・B型・AB型がある(人間でいうA型やB型とは本質的に違う)
◎日本でも世界中でも、A型が圧倒的に多い。B型の比率は地域や猫種によって違う(※ AB型は極めて稀)
◎猫種別の割合をみるとソマリはややB型率が高め
ソマリ=A83%:B17% アビシニアン=A86%:B14% ヒマラヤン=A93%:B7% ノルウェージャンフォレストキャット=A93%:B7% メインクーン=A98%:B2%
出典:Griot-Went ME, Giger U: Feline transfusion medicine: Blood types and their importance. Vet Clinics North Am (Sm Anim Pract) 25:1305-1322, 1995.
◎A型の血液をB型に輸血すると、わずかな量でも致死的な反応が起こる(A型赤血球への抗体のため)
◎B型猫の血液をA型に輸血した場合は、致死的な問題はないが、輸血した血が長持ちしない
◎B型の母猫とA型の父猫から生まれたA型の赤ちゃんが、初乳を飲むと、溶血反応をおこして死に至ることがある(新生児溶血) ※「交配繁殖について」のページで、一般家庭での繁殖のリスクとしてあげているのはこれです
◎若くて健康で体重4kg以上あるドナーが必要。院内に供血猫をおいている動物病院も少なくないが、前回の供血からあまり日にちが経っていない場合、利用できない。
◎輸血が必要な猫がB型だった場合、ドナーを見つけにくい。普段から準備しておくのが望ましい。
◎実際の輸血においては、血液型が同じというだけでなく「クロスマッチ」試験が必要。もし合わなかったら輸血はしない。
◎ドナー(血を提供してくれる側)とレシピエント(輸血を受ける側の猫)の血液を混ぜて、凝集や溶血が起こらないことを調べるテスト。具体的には、まずはドナーの赤血球とレシピエントの血漿を混ぜて反応を見るメジャークロスマッチと、ドナーの血漿とレシピエントの赤血球を混ぜて反応を見るマイナークロスマッチを行う。クロスマッチテストは輸血後にレシピエントに危険な反応をおこさないようにするために行われるが、クロスマッチで問題がなかったとしても、輸血反応が起こる可能性は0ではない。
2014年11月。我が家の長男ソマリが「胆管閉塞」を発症し、緊急手術を受けるために関東の高度医療センターに入院した時のこと。もともと腸炎による慢性下血のため、軽度の貧血があった長男は、移動のストレスでさらにPCV(Ht)を下げてしまい、術前に早急な「輸血」の処置が必要となりました。
私達は、輸血に関しては全て病院にお任せすればいいのだと思っていました。が、高度医療センターであるにも関わらず、輸血用の血液は用意できないとのこと。病院の3頭の供血猫は、すべて緊急手術のために血を提供したばかりなので、飼い主の方で数時間のうちにドナーを確保してくださいとのお話でした。それも、最低でも4kg以上体重のある若くてなるべく体格のいい猫をと。
私はすぐさま長男の血液を少量採取していただいたものを持って、新幹線で1時間かけて家にトンボ帰り。その足で、当日一番体調の良かった4歳の末っ子を地元のかかりつけドクターに連れて行き、長男の血液との血液型及びクロスマッチ検査。
幸いどちらもA型でクロスマッチも問題がなかった為、今度は末っ子を連れてまた長男の待つ関東の病院へ。ただちに行われた末っ子から長男への輸血は問題なく済み、輸血反応といわれる副作用が起こることもありませんでした(ちなみに2頭は直接の血縁関係はありません)。
その後病状も急速に好転し、リスクの高かった外科手術そのものも回避することができましたが、まさにママ達にとって命の縮む体験でした。
人間と違って、まだまだ猫の輸血事情は万全ではありません。我が家はたまたま多頭飼いで、クロスマッチもばっちりの若い元気な弟くんが2頭いてくれたことが、本当に幸いでした。(妹達もいますが年齢的な面でドナーは厳しい/汗)
また、長男が多数派のA型であったことも幸いでした。これでB型だったら、弟たちのヘルプも使えず、わずかな時間で他のドナー猫を探すことなど不可能だったでしょう。はっきり言って、B型の猫の輸血事情はかなり厳しいと思います。
冒頭にも書きましたが、ソマリは、他種と比べB型の割合が少し高い猫種です。愛猫の血液型をチェックしておくのは備えとして有効ではないでしょうか。というのも、もし少数派のB型だった場合には、予めかかりつけドクターに相談したり、インターネットなどを使って、B型の供血猫さんを探しておくという準備ができるからです。
また、多頭飼いの場合、うちの子同士のクロスマッチまで調べておけば、緊急時や災害時の備えとして、こんなに安心なことはないでしょう。
「A型のオイラは真面目で几帳面ニャ」
血液型占いじゃありません